日々の寒暖差が激しいこの時期。東京消防庁は夏本番を迎えるのを前に、ホームページ(HP)上で、昨年の熱中症を分析し、対処方法のポイントなどを伝えるコーナーを設けた。気温の上昇とともに熱中症による救急搬送が増え、通報から救急車が到着するまでの時間を要することになるなどとしている。東京消防庁は「予防対策は自分自身だけではなく、誰かの命を救うことにつながる」として熱中症に強い身体作りなどを呼び掛けている。(王美慧)
東京消防庁の令和4年の熱中症の救急搬送などの分析によると、夏季期間(6〜9月)中に救急搬送されたのは6013人で、3年よりも2599人増えた。過去5年間(計2万8817人)で2番目に多かったという。
最高気温が30度を超える真夏日は49日と3年と同数だったが、35度以上の猛暑日は14日増え、16日あった。1日に100人以上が搬送されたのは7日増え、15日を記録。1日で最も救急搬送されたのは6月30日の404人で、最高気温は36・4度だった。
6月の救急搬送は1870人で、過去5年で最も多かった。夏が本格化する前の暑さに慣れていない時期の気温上昇に身体がついていかないことなどが要因とみられる。一方、気温別で搬送が多いのは35度台で2168人と突出していた。東京消防庁は「気温が高くなくても湿度が高いと搬送は多くなる」などと分析している。
時間帯別では、午後1時台が625人と最も多く、午前11時台から午後4時台は、500人以上と目立つとしている。年代別では80代が1410人と最も多く、次いで70代の1130人。65歳以上の高齢者が3229人で全体の半数を占め、このうちの約7割にあたる2394人が75歳以上の後期高齢者だった。
一方、夏季期間に救急搬送された全6013人のうち約4割にあたる2299人が入院が必要だと診断されており、重症以上も244人に上った。高齢者(65歳以上)は約半数の1644人が入院が必要だと判断されたという。
熱中症の発生場所は、住宅などの居住場所で全体の約4割(2482人)を占めた。次いで道路や交通施設などで約3割(1823人)だった。
熱中症は水分補給が足りない状態や気温や湿度が高い環境にいることで、体温調節機能がうまく働かなくなって生じる、めまいや吐き気、頭痛などの症状だ。東京消防庁は、こまめな水分補給やエアコンの適切な使用などを呼び掛けるとともに「日頃から汗をかく習慣を身につけ、暑さに強い身体を作ろう」などと呼び掛けている。