こちらもハンクスとスピルバーグのコンビによる作品。この二人の相性が、豆とにんじんのように合っていることが改めて証明された(このネタについては本リストの次の作品を待たれよ(『フォレスト・ガンプ』のセリフで「僕とジェニーはニンジンと豆のように一緒にいた」とある)。
舞台は冷戦下。良心ある一人の男が厄介な状況に追い込まれていくという、手に汗握るドラマだ。ハンクス演じる弁護士が、スパイ容疑をかけられたロシア人(マーク・ライランス)の弁護を引き受ける。ライランスの正体は問題ではない。この映画の真のメッセージは、いかなる重圧にも屈せずに正義のために立ち上がることができるか、という問いだ。
ハンクスはまさにこの役を演じるために生まれてきたのだといえる。『ペンタゴン・ペーパーズ』や『ミュンヘン』(いずれもスピルバーグ監督作品。後者はハンクスの出演作ではない)と同様に、スピルバーグは現代史における謀略に挑みながら、そのスマートな手腕によって本作を緊張感のある映画に仕上げた。
映画『JFK』(オリバー・ストーン監督作品)でケビン・コスナーが演じた地方検事ジム・ギャリソンに負けず劣らず、ハンクス演じるジェームズ・ドノヴァンもまた真実に身を捧げる弁護士である。ドノヴァンは良心と倫理観を備えた明晰な男であり、私たちが手本とすべき人物だ。
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